第21回スニーカー大賞《春》
総評
今回の最終選考には流行を押さえた今風のファンタジー作品から、独自の世界観を描いたオリジナリティあふれる作品まで幅広い作品が残りました。そのため、選考会では意見が割れることもありましたが、最終的に、筆力と将来性を強く感じさせる藤宮カズキさんの「箒が踊る夜」が《優秀賞》に選ばれました。
いつかの空、君との魔法(受賞時タイトル:箒が踊る夜) 藤宮カズキ
あらすじ
ヘクセと呼ばれる選手たちが、箒に跨り使い魔と共に空を飛び、箒さばきや魔法の技能を競う種目《ヘクセベーゼン》。
カリムと揺月は二日間にわたる大会に出場するが、揺月は精霊化という死の一歩手前の飛翔を見せて――!?
選評
小説では難しいといわれる空中戦の描写が見事で、その高い筆力に注目が集まりました。ヘクセベーゼンと呼ばれる競技の設定もユニークで、それに挑むキャラクターたちも魅力的に描写されていることが評価され、《優秀賞》の受賞となりました。
刊行時あらすじ
「あの雲が、本当のことを全部隠してるんだ」
常に上空を覆う雲によって、空の青さを知らない世界。
雲を払えるのは《ヘクセ》と呼ばれる魔法使いの少年少女だけ。
並外れた飛行技術を持つ少年カリムは、幼馴染みで当代随一の《ヘクセ》揺月と再会する。
しかし彼女はある病により、昔とはまるで別人で……?
「高く飛べない」少年と「空でしか生きられない」少女の邂逅が、世界の色を変えていく。
第21回スニーカー大賞《優秀賞》受賞作。