第18回スニーカー大賞《春》
総評
最終選考に残った作品は、いずれもバトルがストーリーの見せ場でありながら、その戦う目的・理由がキャラクターに根ざしており、各作品ごとにまったく違う読み心地となっていました。それぞれ長所短所はありましたが、作品としてのポテンシャルが高い2作品の受賞が決まりました。
インヴィジョン・ワールド(受賞時タイトル:エピデミックゲージ) 相川黒介
あらすじ
10年前落下した隕石のために隔離された浜斗市では、異能を持った者が出現し、犯罪が横行していた。市内に住む不良少年・拓は、いきなり現れた超能力者犯罪捜査部の美沙に強引に捜査協力させられ、連続テロ事件の情報を集めることになるのだが――。
選評
大がかりな設定や特殊な舞台、異能バトルなど、ライトノベルを好む読者を意識していたと思います。物語の展開もしっかりと描けていました。ただ、読者が驚くような新しさに欠けていると感じました。他にある異能バトルものと明確な差異を作り、しっかり見せられれば、より作品としての魅力がアップするでしょう。
刊行時あらすじ
イメージを現実化する夢の技術「SAR」。だが十数年前のある日、このシステムが暴走し、世界中の主要都市に謎の電脳迷宮が誕生した。神凪遥斗と緋桜杏奈の二人はSAR能力を駆使して電脳迷宮に挑むが!?
終焉世界の天災姫 (受賞時タイトル:世界の正しい壊し方) 三ノ神龍司
あらすじ
予知能力を持つがゆえに監禁されていた『聖女』セイヴィアを救い出したのは、『天災』と恐れられるテロリストの少女・琴代だった。「さぁ、世界を壊そう!」と勢いづく琴代と彼女の癖のある仲間に戸惑いつつも、故郷を目指して旅を始めるセイヴィアだったが!?
選評
「世界を壊そう」というスケールの大きさ、破天荒さに高い評価が集まりました。キャラクターたちの独特な性格にも魅力がありましたが、全体的に説明不足だったり、描ききれていない部分が多く、物語を掴みきれなかった印象があります。自分のベストパフォーマンスとその為の枠組みを見極めることが大事だと思います。
刊行時あらすじ
世界を襲う《禍獣》と呼ばれる異形の種と戦う陰陽徒を目指す九鬼不動は、災害と呼ばれる問題児。ある日の討伐中、不思議な力を持つ少女・ヒナと出逢ったことから、最凶の災厄を巡る陰謀に巻き込まれていき――!?