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過去の大賞情報

第30回スニーカー大賞



総評

第30回スニーカー大賞にご応募くださった全ての皆様に、まずは心より御礼申し上げます。
今年も非常に多くの作品に触れ、熱意あふれる物語の数々に出会えたことは、編集部にとってかけがえのない時間となりました。

30回という節目の開催となった今回、編集部は改めて「今この時代に、スニーカー文庫が新たに世に送り出すべき作品とは何か?」を徹底的に議論しました。
その中で出た結論は、非常に悩ましいものでありながらも、誠実な判断であったと信じています。
本年の審査結果は「受賞者ナシ」とさせていただきました。

今回、編集部が掲げていたのは「キャッチーで、読み始めた瞬間に惹き込まれる、強烈な魅力を持つ作品」との出会いでした。
決して「完成度」だけではなく、「この物語を今、読者に届けたい」と思えるような決定的な何かを探していたのです。
しかしながら本年は、最終候補に挙がった作品のいくつかが高いポテンシャルを持っていたものの、その「あと一歩」がどうしても届かない――そんな年でした。

だからこそ、編集部は妥協をせず、あえて“選ばない”という選択を取りました。
それは、応募者の皆様の努力や才能を否定するものではなく、むしろ「次こそは、心から賞を贈りたい」と願うからこその決断です。

スニーカー文庫は今、国内だけでなく海外へも作品を届けるレーベルとして変化を遂げています。
読者の目は厳しく、そして嗜好はますます多様化しています。
こうした時代において「今すぐに読みたい!」と思わせる魅力を持った作品との出会いが、何よりも求められていると私たちは考えています。

現在開催中の第31回スニーカー大賞では、改めて「貴方にしか書けない、そして多くの人に届く物語」をお待ちしています。
悔しさをバネにした再挑戦も、新たな決意での初挑戦も、どちらも大歓迎です。
スニーカー文庫編集部は、いつの時代も変わらず、物語を愛するあなたの挑戦を心から応援しています。

スニーカー文庫編集部 編集長


第29回スニーカー大賞



総評

第29回スニーカー大賞は変わらず多くの執筆者様より作品をご応募をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
ライトノベルは一昔前と比べてジャンルの幅が狭まっている、というご意見を目にすることもありますが、
スニーカー大賞応募作においては流行を追いかけたというより執筆者の個性が前面に出た作品を多数拝読することが出来ました。
「貴方にしか書けない物語」これは言うまでもなく素晴らしいことであり、長きに渡って編集部が応募作に求め続けてきたことです。

ただ、一つ今の時代に新たなことを申し上げるならば、編集部は今「キャッチーな作品」を求めています。
様々な娯楽が無料で享受出来てしまう時代にあって、読者に作品を読んで貰うことのハードルが年々高まっていることは想像に難くありません。
だからこそタイトルを見ただけでワクワクしてしまうような、ありそうでなかった企画性。
あらすじを見た際に「これは読まない訳にはいかない!」と読者に思わせる吸引力。
スニーカー大賞ではそういったキャッチーさを備えた作品との出会いを強く求めています。

現在スニーカー文庫より刊行された作品は国内でヒットすれば漫画化され、翻訳出版され、そして映像化されれば世界中の国で配信されます。
こうした時代にあって編集部は今、日本国内のみならず世界を熱狂させる作品との出会いを願ってやみません。

現在開催中の第30回スニーカー大賞でも、この大きな夢を共に追い求めていただける作家様からの熱いご応募をお待ちしております。

スニーカー文庫編集部 編集長

女装の麗人はかく生きたり

ここは聖霊が支配する国家。「人間の男」という最も低い身分にあるリオは、エルフのディアに仕え、女装の麗人として闘技者の日々を送っていた。ある日、上位種の議会で人間を統治する法案が提出され、世界は大きく動き始める!これは奴隷の少年が仲間とともに未来をつかみ取る活躍譚。

選評

まず導入として、エルフやヴァンパイアなどの種族が登場する世界の風景や、その世界で生き抜くリオの様子が鮮やかに提示され、筆力の高さが伺えます。
そして、高位種族たちが奴隷身分である人間をどのように考え扱っていくかを巡って物語は進行していきます。リオを始めとした数多くの登場人物それぞれの思惑が絡んだストーリーラインと、その結末の描き方も非常に水準が高いものでありました。
一方でタイトルにある「女装」など、作中での活用が薄く、設定としてまだまだ伸びしろを残している部分もいくつか見受けられました。
これらの点から、本作は《銀賞》の受賞となりました。大変ポテンシャルの高い作品ですので、その力を最大限にして皆様にお届けできることを楽しみにしております!

僕はライトノベルの主人公

ぼっち高校生・手塚公人は『メインヒロイン』の名乗る文武両道の美少女・高嶺千尋に迫られていた。千尋曰く公人は『この世界の主人公』らしい。馬鹿馬鹿しいと思いつつ彼女に振り回されていると、不意に手に入れたある本に“自分が主人公の物語”が記されていて――メタフィクションラブコメディ。

選評

美少女に見初められて、自称付喪神、自称魔女、自称超能力者など、奇人変人たちの集まりに参加させられる。それをきっかけに主人公は不可思議な出来事に巻き込まれ……二章までのあらすじは一昔前のラノベあるあるを煮詰めたような世界観は、三章になって一気に展開します。主人公は、今まさに自分たちが紡がれている最中の物語を手渡され「この物語を完成に導く」という役目を担い、読者が読み進めるのと同時並行するように物語が紡がれていく。盛大なメタ作品として最後まで描き切っていました。
メタを取り入れた作品は、スニーカー大賞にご応募くださる作品の中で毎年何点かは拝読していますが、その中でもここまで徹頭徹尾やり切ったメタ作品は珍しく、一度読み終わった後にもう一度頭から読み直したくなる魅力がありました。
もちろん、劇中で若干持て余したらしきキャラクターなど粗削りなところはありますが、メタフィクションとして描き切る筆力は素晴らしく、また、メタ作品としてだけでなく若干頭打ちになっているラブコメディジャンルの新天地を読者に提示できる作品になると思います。読者の皆様にもこの作品を楽しんでいただけるのが、今から楽しみです!


第27回スニーカー大賞





惜しくも受賞を逃した最終選考3作品の選評はこちら



第26回スニーカー大賞



総評

 第26回スニーカー大賞では、前回以上に応募者それぞれが「自分にしか描けない物語」というものを強く意識しているということが感じられました。自分自身の好きなジャンルや世界観をとことん掘り下げている作品は、読んでいて作者の「好き」という気持ちがひしひしと伝わってきます。

 最終選考に残った7作品は、いずれも高い筆力で自分の「好き」を突き詰めて描きだしており、選考は昨年以上に難航しました。
 優秀賞を受賞した『宅録ぼっちのおれがあの天才美少女のゴーストライターになるなんて。<リマスター版>』は、伝説のシンガーソングライターのヒロインと共に曲作りをしていくラブコメ作品です。ヒロインたちとの繊細な関係性を描き出した力が評価され、受賞に至りました。近年のラブコメ作品の潮流を丁寧に研究しており、その上で作者の音楽へのこだわりが非常に強く感じ取れ、独自の色を出すことができていました。
 同じく優秀賞に選ばれた『私たちのアングラな日常』は海釣り同好会での女子高生たちの友情を描いた青春ストーリーです。釣り未経験の選考員をもワクワクさせるような詳細な釣り描写と、釣りを通じて深まる女子同士の友情を巧みに描き出した点が評価されました。
 今回の最終選考は非常にレベルの高い作品が集まりましたが、「キャラクターや、キャラクター同士の掛け合いから生まれる魅力」もしくは「作者にしか描けない世界観」のどちらかに偏った作品が多く、二つをバランスよく併せ持った作品として上記の二作品が優秀賞に選ばれました。受賞者が今後描いていく作品に、是非ご注目ください。

 「スニーカー大賞」は次回より投稿方法、選考方法を大きく改革し、応募締め切りなども昨年とは異なっています。より一層面白い作品を届けられるよう、スニーカー大賞も進化を続けておりますので、あなたの「好き」を詰め込んだ新しい作品をぜひご応募ください!

宅録ぼっちのおれがあの天才美少女のゴーストライターになるなんて。<リマスター版>

ぼっち男子の小沼拓人は、中学生の頃に偶然ライブを見た同い年の天才美少女シンガーソングライター"amane"に強く憧れ、自分も作曲を始める。だがその半年後、amaneはデビューシングルたった2曲だけを残して活動を休止をしてしまう……。意気消沈しながらも周りには秘密で一人バンド(宅録)を続け、高校生になった拓斗だったが、同じ高校にamane(市川天音)が入学していた! 「ねえ、小沼くんの曲、一曲だけ、くれないかな?」――歌声が出なくなってしまった彼女のため、拓斗はゴーストライターになることを決意する!

私たちのアングラな日常

同級生からイジメの標的にされ、関西の高校に転校した追川めざし。登校初日、同じクラスの白木須椎羅に「これは運命やでっ! めざしちゃん!」と迫られ、そのまま彼女が会長を務める海釣り同好会「アングラ女子会」に入会することに。そして同好会のメンバーであるクール系女子・汐見凪と副会長で勝気な性格の間詰明里から釣りの基本を教えられ、女子高生アングラーとしての高校生活をスタートさせる。めざしは少しずつ魚釣りの面白さと彼女たちのボケとツッコミが入り乱れる楽しい雰囲気に居心地の良さを感じはじめるのだが……。釣りを通じて女子高生四人が紡ぎだす瑞々しくもほろ苦い青春と友情の物語、始まります。