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「この素晴らしい世界に祝福を! よりみち!」購入特典:キャラクター総選挙1位SS&オーディオドラマ後編

☆『このすば映画大ヒット&最新刊発売記念キャラクター総選挙』2大特典付き!!
1.暁なつめ書き下ろし!キャラクター総選挙1位アクアのスペシャルSS(ショートストーリー)
2.スペシャルオーディオドラマ「イカサマ女神に天罰を!」後編

※2位めぐみん,3位ダクネスのスペシャルSS&オーディオドラマ前編は「戦闘員、派遣します!5」の購入特典です
※「戦闘員、派遣します!」1~4巻にも付属予定です。特典の有無は店頭にて書籍の帯表記をご確認ください。
※閲覧期限は2020年5月31日23:59まで
※パケット通信料を含む通信費用はお客様のご負担となります


◆特別SS 1位:アクア

『枯れ地に雨を!』

「……指名依頼?」
その日。
冒険者ギルドにやって来た俺達は、受付のお姉さんの言葉に戸惑いを浮かべていた。
「はい、サトウさんのパーティー、いえ、アクアさんに仕事をお願いしたいんです」
基本的に冒険者は、掲示板に貼られたクエストを勝手に受けるというスタイルだ。
しかし、腕利きの冒険者ともなると依頼主からご指名を貰う事がある。
そういった指名依頼は、報酬が上乗せされる上に人気パーティーのバロメーターともなるので、冒険者であれば一度は受けたい代物なのだが……。
「アクアを指名するとはどういう事だ? 依頼主は何か良からぬ事を企んでいるだろう」
「いえ、もしくはこの街に最近越してきたばかりの方かもしれませんよ? アクアの肩書きはアークプリーストです。それだけ聞けば、凄腕の聖職者と勘違いしてもおかしくはありませんから」
「二人とも、それ以上言うのならお風呂でカズマと鉢合わせする天罰を与えるわよ」
ダクネスとめぐみんに噛みつくアクアだが、二人の言い分ももっともだ。
その天罰については後で詳しく聞くとして、指名依頼については気になる。
受付のお姉さんも、その疑問は当然だと言わんばかりに頷くと、
「ええ、それについては私共も何度も確認しました。指名相手を間違っていないか、本当にいいのか、依頼を失敗しても賠償は求めないのか、など……。ですが、全て理解した上でアクアさんをご指名だそうで……」
「お姉さんもそれ以上言うなら考えがあるわよ。シャンプーで頭を洗った際に、泡を流す時だけお湯が出なくなる天罰を与えるからね」
アクアの正体に気付いていないはずのお姉さんは、なぜか少しだけ引き攣った顔で後ずさり、慌てて両手を振ってくる。
「ですが、依頼主に話を聞いて納得しました。指名依頼の内容は――」

――翌日。
「お供え物はそっちに置いてね。お酒は値段の高い順から並べていってね」
街の傍に広がる穀倉地帯でアクアによる指示の下、大勢の冒険者が見守る中雨乞いが執り行われようとしていた。
指名依頼の内容は、水の事に関してだけは定評のあるアクアに雨を降らせて欲しいというものだった。
「……なあ、本当にこんなんで雨が降るのか? っていうか、アクアがセイクリッドクリエイトウォーターとか使えばいいんじゃないのか?」
ここ最近日照りが続き、穀倉地帯での水不足が深刻らしい。
だがこの世界には魔法がある。
ちょちょいと魔法で水を出せば簡単に解決すると思うのだが……。
「バカねカズマ、魔法で出す水は無から生み出しているわけじゃないのよ? 辺りの水分を魔力を使って集めているだけで、クリエイトウォーターで水を生んでもその分大気が乾燥するから、長い目で見れば問題解決にならないわ」
……そうだよな、無限に水を生み出せるのなら、皆がクリエイトウオーターを使いまくれば水の総量がドンドン増えて、いつの日かこの世界が水に覆われた星になってしまう。
仮にも神様が管理している世界だし、そういった事で世界が滅んだりしないよう、魔法の仕組みはちゃんと理に適ったものになっているのだ。
「なるほどなあ。……あっ、それじゃあクリエイトアースはどうなってるんだ? 俺達の足下の土が少しずつ削れてんのか?」
「土の事なんて知らないわよ。不思議空間から送られてきてるんじゃないの?」
なんだよ不思議空間って、俺が抱いた感心返せよ。
「アクア、お供え物はこのまま置いとけばいいのですか? 主にお酒が多いみたいですが、これってアクアが欲しい物じゃないですよね? 儀式にかこつけてちょろまかそうとしていませんか?」
「めぐみんったら何て事言ってくれるのよ。水にまつわる者は皆お酒が好きなのよ? 雨乞いは大気に漂う水の精霊を集める神聖な儀式よ。彼女達にお酒を振る舞い、ほんの少しだけその力を借りるのよ」
珍しくアクアが真面目な顔で水の精霊について説明する中、ダクネスが高そうな瓶を抱きしめ首を傾げた。
「では、この酒は辺りに撒いてしまうのか? 供え物として酒が欲しいと言われたので、お父様のコレクションの中で一番高いヤツを持ってきたのだが……」
「ダクネスったら何て事言ってくれるのよ。それを撒くだなんてとんでもないわ。そういうお高いお酒はあっちに置いてね。これも儀式だからね、大事な儀式の一環だから」
こいつ絶対高い酒はキープする気だろ。
と、雨乞いの準備を終えた冒険者達がアクアに向けて呼び掛けた。
「アクアさーん、お供えは並べ終わったよー!」
「俺達はこの後何すりゃいいんだー?」
辺りには酒瓶が綺麗に並べられ、雨乞いという珍しい儀式に野次馬達が今か今かと期待しながら待っている。
「ほう、これはなかなかの絶景ね。いいわ、それじゃあ今から雨乞いをするわよ! たまには女神の本気を見せてあげるわ!」
並べられた酒瓶を前に、上機嫌のアクアは空を見上げると――

「この世に存る我が眷属よ……水の女神アクアが命ず……!」

かつて魔王軍幹部ベルディアと戦った時のように、荘厳な気配を漂わせながら――
「……あっ? ちょ、ちょっと待ちなさい、まだ何も命令してないんだから勝手に集まってきたらダメよ!」
何かイレギュラーでもあったのか、アクアが突然慌て出した。
というか、いつの間にか辺りの空気が湿り気を帯びている。
きっと今のあいつには、俺達に見えない何かが見えているのだろうが……。
「いい? 私が女神らしくもったいぶって命じるからね。でも、すぐには雨を降らしちゃダメ。そのうち私が、これはお供えが必要ね……って重々しく呟いて皆からお酒を回収するわ。そうしたらあなた達は雨を降らせるの。……分かった?」
虚空に向かって大声でそんな事を呼び掛けるアクアだが、供え物を必要としない事だけは理解した。
並べられていた酒が冒険者達の手により、値段の高い順にコッソリ回収されていく中、アクアがコホンとせき払いをすると――
「水の女神アクアが命……ちょっと、まだダメだって言ってるでしょう! ……何? 対価が欲しい? 分かったわよ、後でお酒分けてあげるから……。あっ、それはダメよ! もっと安いヤツにして!」
まだ雨乞いを始めてもいないのに、雨雲に覆われはじめた穀倉地帯で皆が見守り続ける中、
「どうして水の精霊はこんなに言う事聞かないのよ! あっ! 待ちなさいな、それは一番に狙ってた――!」
水の精霊というものは、誰かにソックリな気質な事を知った俺達は。
「わあああああああー! 私のお酒――!」
やがて土砂降りと化した穀倉地帯から慌てて逃げ出すと、その後、珍しく役にたったアクアを称えた――

後日。
アクアが暇つぶしに作った『てるてるアクア』を貰った依頼主が、それを逆さにしてぶら下げるだけで雨が降る事を確認し、敬虔なアクシズ教徒が一人増えたのはまたの話――

『このすば』スペシャルオーディオドラマ「イカサマ女神に天罰を!」後編