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戦闘員、派遣します!5 購入特典:キャラクター総選挙2,3位SS&オーディオドラマ前編

☆『このすば映画大ヒット&最新刊発売記念キャラクター総選挙』2大特典付き!!(帯のQRコードから読み取ってお楽しみください)
1.暁なつめ書き下ろし!キャラクター総選挙2位めぐみん&3位ダクネスのスペシャルSS
2.スペシャルオーディオドラマ「イカサマ女神に天罰を!」前編

※1位アクアのスペシャルSS&オーディオドラマ後編は「この素晴らしい世界に祝福を! よりみち!」の購入特典です
※閲覧期限は2020年5月31日23:59まで
※パケット通信料を含む通信費用はお客様のご負担となります


◆特別SS 2位:めぐみん

『ダブルウィザード』

「『エクスプロージョン』――ッッッ!」
アクセルの街近くの岩山に爆裂魔法が放たれる。
荒れ狂う爆風が収まると、そこには巨大なクレータだけが残っていた。
「ククク……。今日も哀れなる贄が我が力の糧となりましたか……。ですが、あなたという存在は消えて無くなるわけではありません。ええ、大魔道士めぐみんの経験値となり、永遠に私の中で生き続けるのですから……!」
地面に倒れ伏した大魔道士がブツブツと呟いた。
「そうだな、お前が倒したはぐれコボルトはきっと心の中で生き続けるよ。ほら、おんぶするから手を上げろ」
「おい、モンスターと激戦を繰り広げた余韻に浸っているのに、はぐれコボルトと言うのは止めてもらおう。なんだかスケールがショボくなるではないですか」
しょぼくなるも何も、群れからはぐれていたコボルトを見付け、遠くから不意打ちした以外の何ものでも無いのだが……。
「……んっ? おい、あそこにコボルトが見えないか? しかも二匹いるんだが……」
爆音を聞き付けたのか、遠くからこちらを覗う何者かがいた。
千里眼スキルを使ってみれば、まごうこと無くコボルトだ。
「先ほどの我が贄を探しに来たのでしょう。カズマ、あのコボルト二匹を仲間の下へと送ってあげてください。せめて、安らかに……」
「いや、冒険者としてコボルトは見過ごせないし、やるけどさあ……。そういうのは、地面に転がったまま言うセリフじゃないと思うぞ……」
背中から弓を取り出すと、遠くに見えるコボルトを見ながらそれを引き絞り――
「悪いな、お前達に恨みはないが……。その命、俺の力として使わせて貰う。……狙撃!」
スキルによって放たれた矢は、片方のコボルトの胸へと吸い込まれた――!
「カズマ、今のはとても良かったですよ! いつも爆裂魔法に点数を付けてもらってますから、お返しとして採点してあげましょう。……そうですね、もっと溜めが欲しいのと若干の照れが感じられたので、今回は七十二点という事で」
「おい止めろ、点数付けられると急に恥ずかしくなってくる。くそ、とっとと残りの一匹も……って、あれっ……」
めぐみんに気を取られていると、いつの間にかコボルトが増えているのに気が付いた。
三匹ほどのコボルトがこちらを指差し騒いでいる。
「おい、なんかコボルトが増えたんだけど。三匹はちょっと手こずるかも……」
俺一人なら潜伏しながらの狙撃で何とかなるが、荷物を背負いながらとなると楽勝とは言い難い。
「コボルト相手に怖じ気付くとは情けない! 六十二点に減点ですよ! 先ほどの高評価を返してください!」
「お前を置いてけば余裕で勝てるんだからな! その証拠を見せてやろうか! ……あっ、おいコラ離せ! 今のは冗談だって、置いてかないから邪魔するな、攻撃すら出来ないだろうが!」
置いてかれまいとズボンを掴むめぐみんを引き剥がしていると、その隙を突いてコボルト達が距離を詰めてきた。
「バカ野郎、本気でピンチになったじゃねーか! 接敵前に狙撃で数を減らせればもうちょっと勝算上がったのに! って、さらに増えたぞ! 五匹以上はさすがに勝てねえ!」
「カズマ、今は誰の責任かを追及している場合ではありません! こうなっては仕方ありません、私に魔力を分けてください! 動けない私を背負うより、その方が逃げやすいはずです!」
こいつのせいでピンチになったのだが、今の状況では仕方がない。
俺がドレインタッチで魔力を注ぐと、めぐみんがバッと跳ね起きた。
「私はアクセルの街へ助けを呼びに行ってきます! カズマは足止めをお願いしますね!」
「ふざけんな、俺だって逃げるに決まってるだろ! ……あっ! お前、俺に囮にされないように、自力で逃げられるように魔力を分けさせやがったな! 何てヤツだ、こいつちっとも俺を信用してねえ!」
前を行くめぐみんの後を追いながらの俺の罵倒に、
「私を置いていけば余裕で勝てる発言さえ無ければ信じてましたよ! ……ああっ! カズマ、前方からもコボルトが! 挟み撃ちです、このままではマズいですよ!」
「くそっ、なんでコボルトの方が俺達より頭が良いんだよ! こうなったら狙撃で数を減らした後、正面突破するぞ! それで、どうにか距離を稼いだら潜伏スキルでやり過ごすんだ!」
俺は弓を構えると、接近戦を覚悟し杖を握り締めるめぐみんと共に、迫り来るコボルトに矢を放った――

――アクセルの街へ帰り着いた俺達は、正門で順番待ちをしている冒険者の列へと並ぶ。
俺とめぐみんは互いに無言だ。
コボルトとの激戦はそれほどまでに疲れるもので……。
「あれっ? め、めぐみん、奇遇ね! カズマさんと一緒って事は、いつもの日課?」
と、列に並ぶ俺達の後ろに、めぐみんの自称ライバルことゆんゆんが現れた。
その後ろには、なぜか駆け出しっぽい冒険者パーティーが……。
「ゆんゆんさんの仲間の方ですか? 俺達、初心者殺しに追い掛けられていたところを、ゆんゆんさんに助けてもらって……!」
「ええ、本当に何てお礼を言ったらいいのか……。ゆんゆんさんがいなかったら、私達、今頃全滅してました!」
「ゆんゆんさん、めちゃくちゃ強くて尊敬します!」
初心者殺しは、ゴブリンやコボルトなどの、あまり強くない割に討伐報酬が美味しいとされるモンスターと共生する狡猾で凶悪な相手である。
そんな強敵から助けられ、口々に礼を言う冒険者達にゆんゆんが赤い顔で固まっていると。
「なるほど、初心者殺しですか。アレぐらいであれば、私達紅魔族にとってはただの経験値ですからね。私も若い頃は、初心者殺しを千切っては投げしたものです」
その強気な発言に、冒険者達の視線がもう一人の紅魔族へと向けられた。
「……へえー。めぐみんってそんなに初心者殺しを倒した事があったんだ。長い付き合いなのに知らなかったわ」
「まあ、初心者殺し程度は倒しても自慢になりませんからね。ゆんゆんが知らないのも無理はないです。私達がその場にいられれば良かったのですが、向こうの岩山で凶悪なモンスターと激戦を繰り広げていたもので……。なるほど、初心者殺しですか。私がいれば瞬殺でしたね」
凶悪なコボルトに危うく全滅させられそうだっためぐみんの言葉に、ゆんゆんの目が紅く輝く。
「なるほど、つまり初心者殺しより凶暴なモンスターがいたのね!? ちょっとめぐみん、大変じゃない! ギルドに報告に行かないと!」
「おっと、すでに私達が討ち取りましたので報告は無用です! な、何ですかこの手は、冒険者カードを勝手に見るのはプライバシーの侵害ですよ!」
冒険者カードの討伐記録の確認を巡って争いを始めた二人を見て、もめ事や喧嘩が好きな冒険者達がもっとやれとばかりに囃し立てる。
かたや初心者殺しを撃退し、駆け出し達に感謝されるエリートと、かたや、コボルトに全滅されかけるポンコツ魔道士なのだが……。
「嘘吐いてないならカードを見せてみなさいよおおおおおおおおお! あんたはいつも薄っぺらい見栄を張るんだから!」
「薄っぺらい見栄に関して、ゆんゆんにだけは言われたくありませんよ! 里の皆にはアクセルの街で友達が出来たなどと適当な大嘘吐いてるクセに! おっ、その目はやる気ですか? いいでしょう、今日こそは決着を付けてくれます!」

一応この二人が、アクセルの街で一、二を争うアークウィザードらしい――



◆特別SS 3位:ダクネス
『友人想いの――』

その日。
俺は目を覚ますと、ダクネスに夜這いをかけられていた。
「……俺って一応初めてだからさ。こういう事をする時はもうちょっとこう、ムードとかを大事にしてくれると嬉しいんだけど」
「バ、バカッ、お前は何を言っている! 朝っぱらから誤解を招くような事を言うんじゃない! 誰かに見られて本当に誤解を受けたらどうするのだ!」
正確には夜ではないので、夜這いとは言わないのかもしれない。
ダクネスが必死に叫ぶも、しかし今の状況は――
「あ、あわわわわわわ……。ダクネスが、寝起きのカズマさんにのし掛かって……!」
「アクア!? 待て、これは違うんだ! カズマに用があって起こそうとしたら躓いて……!」
ドアの隙間からこちらを覗くアクアの言葉に、ダクネスがベッドに寝ていた俺に覆い被ったままで声を上げた。

「――つまり、転んだ拍子に俺を押し倒す態勢になり、起こさないように退こうとしたところに俺が起きたと」
「そ、そうだ! いや、自分でもちょっとどうかと思うぐらいに不器用なのだが……!」
事情説明を受けた俺が話をまとめてやると、ダクネスが泣きそうな顔で訴えかける。
「そして、カズマさんが起きちゃったからそれならいっそ……! とばかりに、誤解じゃなくしてしまおうとしたのね」
「アクアは茶々を入れるんじゃない! そんなバカな事誰がするか! ああもう……っ!」
俺とアクアにひとしきりからかわれたダクネスは、やがてバッと顔を上げ。
「カズマ、私に力を貸してくれ! クリスの様子がおかしいのだ!」
そう言って、いつになく切実な表情を浮かべてきた――

――物陰に身を屈めて様子を覗いながら、ダクネスが俺とアクアに囁いてきた。
「……どうもクリスがここのところ、良からぬ連中と付き合っていてな。本人に問い正そうかとも思ったのだが、その……」
ダクネスが言葉を濁し、俺とアクアをチラリと見てくる。
「その……、何だよ? 続きを言わないと分からないだろ」
ダクネスに続きを促すと、言い辛そうにこちらを見上げ、
「……その、よく考えてみれば私も、良からぬ連中と付き合っているなと思って……」
「おうおうダクネスさんよお、お前面白い事言ってくれるじゃないか!」
「カズマさん、腕を押さえて! この子の髪をツインテールにしてあげるわ! そして、その格好のまま冒険者ギルドに連れて行くの!」
良からぬ連中である俺とアクアに締め上げられ半泣きになりながらも、ダクネスは静かにしてくれと、口元に指を当てている。
「まったく、それで俺を連れて来たのか……。クリスは敵感知スキルを持ってるから、尾行したってバレるもんな」
「そういう事だ。その点お前と一緒なら、潜伏スキルで相殺が可能だろう? いつもならこれほどまでに近付く事が出来なくてな……ッッ! 見ろカズマ、あいつだ! 見るからに不審な男だろう! ……ああっ!? 怪しげな袋を出した!」
ダクネスの言葉にそちらを見れば、クリスが革ジャンを着た一人の男と親しげに話していた。
頬に深い傷のある筋骨隆々のその男は、何やら白い粉の入った袋を取り出すと――
「あれはケーキ屋のお兄さんね。冒険者をやっていたらしいんだけど、夢だったケーキ屋さんに転職したの。お願いするとああやって、美味しい小麦粉とお砂糖を譲ってくれるそうよ」
「おいダクネスしっかりしろ、むしろ杞憂で済んで良かったじゃないか!」
アクアの言葉に力無く崩れ落ちるダクネスだが、ハッとした顔で立ち上がると、
「そ、そうだ、あの男はまだ始まりに過ぎない! 私が危惧しているのは別の男だ!」
勘違いをごまかすように、ちょっとだけ赤い顔をしながら告げてきた――

「――あそこの路地裏を覗いてみろ。何が言いたいのかは一目で分かる」
クリスを尾行した俺達は、薄暗い路地裏にやって来ていた。
ダクネスに言われるままに覗いてみれば、そこには肉厚の包丁を持った白衣の男が立っていた。
白衣にシミが見えたので千里眼スキルを使ってみれば、それは何かの血液で……!
「あれは鶏肉専門のお肉屋さんね。……あっ! クリスが卵を貰ったわよ! ダクネス、良かったわね! ただの買い物だったみたい!」
「よし、ダクネスまずは落ち着け。自分を責めるのは後にしろ、クリスが無事で良かったじゃないか」
外見で判断し自己嫌悪に陥ったのか、ダクネスが頭を抱えて小さくなる。
――と、その時だった。
俺とアクアがダクネスを慰めている間に、距離を詰めていたのだろう。
「ねえキミ達、朝からずっとあたしの後ろを付いてきてるけど、どうしたの?」
買い物袋を抱えたクリスが、俺達の傍でキョトンとした表情を浮かべていた――

「――あっはっはっは! バカだなあダクネスは! あたしは正義を愛するエリス教徒だよ? 悪い連中と付き合うわけないじゃない!」
事情の説明を受けたクリスが、楽しげに声を上げて笑っていた。
「くっ、面目ない……。私とした事が友人を疑ってしまうとは……」
膝を抱えて落ち込むダクネスに、クリスは嬉しそうにはにかむと。
「へへへ、あたしは嬉しかったけどなあ。だってダクネスは、それだけ心配してくれてるって事でしょ?」
「う……、それはそうなのだが、私は外見で人を判断し、あらぬ疑いまで掛けたのだ。エリス様に仕える身として、とても自分を赦す事が出来そうにない……」
変なところで頑固なダクネスがいじける中、クリスがそっと肩に手を乗せる。
「大丈夫、ちょっと行き過ぎちゃったけど友達を思っての事だもん。きっとエリス様は赦してくれるよ」
クリスがそう言って微笑むと、アクアが余計な茶々を入れた。
「そうかしら。あの子って真面目で頭が固いから、ダクネスを赦してくれないかも」
「ちょっとアクアさん、ダクネスが落ち込むから止めてあげて!」
ダクネスが、抱えた膝の間に顔を埋め、外界との関わりを閉ざす中、俺は気になっていた事を尋ねてみた。
「そういえばクリス、なんか色々買ってたみたいだけど、それって何を作るんだ?」
「えっ!? そ、それは、その……」
クリスはその質問に言葉を濁すと、何やらダクネスをチラリと見てくる。
つまり、ダクネスにかかわりがある事なのか……?
「ケーキね! 小麦粉にお砂糖、卵とくれば、手作りケーキを作る気ね! なによクリス、ひょっとして誰かの誕生日でも近いのかしら?」
突然のアクアの言葉に、なぜかビクッと震えるクリスとダクネス。
……なるほどなあ、ピンときた。
そういえば誰かの誕生日が近かったな。
「よし、アクア、帰るぞ。あと、金は渡すから美味しいお酒を買ってきてくれ」
サプライズ誕生日がバレた事で、顔を赤くして肩を震わせるクリスと、同じく顔を赤くして肩を震わせるダクネスの二人に向けて。
「めぐみんに豪勢な料理を作ってもらうから、二人も早く帰って来いよ」

そう言い残した俺は、普段は真面目で固そうなクセにファンシーな物を好む誰かのために、ぬいぐるみを買って帰る事にした――

『このすば』スペシャルオーディオドラマ「イカサマ女神に天罰を!」前編