新暦三〇七年、世は人類退廃の時代。
三〇〇年前———人類文明は滅びを迎えた。
地獄の窯より現れた災厄は嵐の如く、津波の如く、雷雨の如く、世の全てに一切の差異なく牙を剥き、この星の在り方さえも歪めた。唯一人の例外なく滅ぶはずだった人類は、僅かな勇気と奇跡によって生き永らえる事を許された。
地球の自然環境を掌握・支配する為に造られた環境制御塔の暴走により、人類は生存圏の多くを失い、都市国家規模での活動を強いられている。
異常気象による永久凍土の凍解。地殻変動による地盤の沈下。星の深層内海が噴出したことによる海域の上昇。陸地の殆どが海に沈んだこの時代に、人類は都市遺跡と古代のロストテクノロジーに頼りながら慎ましい生活を営んでいた。
そんな時代の最中、日本諸島を代表する“極東都市国家連合„に、一人の青年が招かれることに。
———彼の名は、東雲一真。
妹である東雲六華と母である東雲不知夜を探しに日本まで帰ってきた彼だったが、星の環境変化によって異常進化した怪物たちとの闘いを強いられることに。
巨躯の怪物、天を貫く塔、十二の王冠種。
人智を超えた勢力に挑む、ミリオンクラウンとは………!?
人類再演の物語、此処に開幕!
———斬り拓け、新時代!!
インド洋に栄える都市国家“シャンバラ„から
来た日本人の青年。
どうして自分が日本の国外に居たのか記憶がない。
極めて高い戦闘能力を持つ。日本諸島を代表する“極東都市国家連合„の東京開拓部隊に所属する少女。
“赤服„と呼ばれる階級で、部隊長を務めている。“極東都市国家連合„の東京開拓部隊に所属する少女。
那姫と同じ“赤服„で、旧時代の文明を研究している。元気いっぱいの双子の女の子。
“赤服„を目指して今日も都市遺跡を駆け回っている。三〇〇年前の大災害で多くの人を救ったと伝えられる青年。
日本最期の神話として語り継がれている。
東雲一真と何らかの縁があるようだが………?
星辰粒子体と呼ばれるナノマシンを散布することで、この星の自然環境を掌握・支配していた塔。
300年前の〈大崩壊〉以後、粒子体の過剰散布が始まり、地球環境や生態系は大きく歪んでしまった。
現在は結晶化した粒子体によって包まれており、誰も中に入ることはできない。環境制御塔から散布されるナノマシン。様々な機能・効果があるが、過剰散布によって生物の異常進化を引き起こしてしまった。
血中粒子加速器。粒子体に適合した人間の様々な潜在能力を引き出す兵器。身体を覆う外殻式の物が最も多く普及している。
日本諸島に存在する都市国家を纏めている組織。通称“極東„。
“極東„の希望を意味する真紅のレザージャケット。
その“赤„は在りし頃の“日本„を象徴している。300年前の〈大崩壊〉で崩れ去った旧文明の街並み。
日本諸島では奇跡的な保存状態を維持しており、都市遺跡に残された旧文明の物資は、現代では貴重品とされている。星辰粒子体の過剰散布によって異常進化した怪物。
その中でも特に巨大な体躯を持つ怪物は【巨躯種】と呼ばれ、警戒の対象となっている。人類退廃の世を盤石にした、惑星史上最強の生命体。
現在、全12体の存在が確認されている。王冠種に唯一対抗できるとされる人類最強戦力の呼称。