「ヒーローになるつもりですか?」「違う。僕はお姫様になりたい」
闘うより、護られたい。
臆病であることを誇る高校生・香屋歩と幼なじみの秋穂栞が迷い込んだのは、8月がループする街“架見崎”だった。
荒廃した街・架見崎には、先住民はいない。だがこの街では、香屋たちのような“プレイヤー”1000人ほどが生活していた。
架見崎には食料をはじめとした物資が不足しているが、コンビニやスーパーなどに多少は残されている。そしてその物資は、消費してもループのたび、同じ場所に復元する。
プレイヤーは、運営を名乗る謎の存在に対してポイントを支払って、望む能力を購入できる。彼らはその能力を使い、チームを組んで乏しい物資を巡る戦いを続けていた。
充分な食糧が欲しければ、戦い、殺し合い、コンビニなどの施設を獲得しなければならない。
だが香屋たちがまず拾われたのは、主な物資がポップコーンとコーラしかない、映画館を根城にしたチーム「キネマ倶楽部」だった。
弱小チームのキネマ倶楽部は即戦力を求めるが、香屋も秋穂も、獲得していたのはまったく戦闘の役には立たない能力で——
生存戦略に反則はない。ルールブックの穴をつく、臆病者の戦いが始まる。
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崩壊した世界にたったひとつだけある街の名前。元々の住民はおらず、「管理者」に招待された人々(プレイヤー)だけが生活している。
多くの建物が破壊されているが、コンビニやスーパーだった建物など、一部に物資が残されている。 -
架見崎は同じ8月を繰り返している。8月31日にループが発生すると、架見崎の状態が8月1日時点のものに戻り、消費した食料、
破損した道具なども復元される。そのためプレイヤーは、コンビニやスーパーなど比較的多くの物資が残る施設を巡って戦う。 -
架見崎のプレイヤーは、「運営者」から能力を与えられる。能力は「基本(スタンダード)」と「その他(オリジナル)」に大別される。
「基本」は効果がシンプルだが獲得に必要なポイントが低い。「その他」は自由に効果を設定可能だが、
割高でかつ、他プレイヤーがすでに似通った能力を獲得している場合は許可されない。 -
能力の獲得にはポイントが必要になる。プレイヤーは架見崎に招待された時点でそれぞれ1000P与えられ、
他プレイヤーを倒すと相手の総ポイントの半分を得られる。また、ポイントは他プレイヤーに譲渡が可能。 -
プレイヤーはチームを作成することができる。人数の制限はない。
チーム内で1人、リーダーを設定する必要があり、他チームとの交戦では相手リーダーを倒すことが勝利条件となる。
リーダーが消えると、チームも消滅する。 -
各チームは特定の条件を満たすことで領土を獲得できる。
架見崎の能力は自身のチームの領土、あるいは交戦中のチームの領土でしか使用できない。