TVアニメ化記念 魔装学園H×H 妄想具現化キャラクター人気投票結果発表!!TVアニメ放送を記念して実施されたキャラクター人気投票。その結果を受けて執筆された、原作の久慈マサムネ先生書き下ろしの特別短編がついに公開!

投票結果

キャラクター:千鳥ヶ淵愛音 シチュエーション:監獄 アイテム:目隠し&手錠

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女囚天地穹神《アマテラス》 ──特殊房Xの淫獄地獄! 殺す天使──

特別短編

 革命が起きた。
 かつてこの国は一人の皇帝に支配されていた。だが、蜂起した民衆は王権政治を否定し、それまでの支配体制を覆した。
 世界のパラダイムシフトが起きたのである。
 民主主義による政治が始まり、身分制度は撤廃された。その結果、かつての栄光を享受した皇帝と貴族は全て平民となった。だがそれだけでは済まない。国の中枢を担っていた者たちは受刑者となり、ここアタラクシア刑務所に収監されていた。
 アタラクシア刑務所は海に浮かぶ人口島であり、難攻不落、脱出不可能な完璧なる監獄であった。
「手を休めるな! ペースが落ちているぞ。油断なく働くんだ」
 刑務作業を行っている部屋に、看守長の声が響く。
 看守長の名前は、飛弾傷無。彼が管理をしているのは、かつての皇帝を含む、重要なA級犯罪者たちだ。国を私物化し、多くの人民の血と汗で私欲を肥やした者たちには、しかるべき報いを与えなければならない。そう多くの国民が考えていた。彼は職務として、その望みを代行する、謂わば国民の代表だった。
「急げ! 今日中に千セットの発送をしなければならないんだ! 大勢の人たちが、待っている。お前達は、人々に罪を償わなければならないのだ!」
 作業場にいる囚人は四名。
 囚人服は無地のワンピース。伸縮性の高い特殊な素材で出来ていて、体型補正と下着の役割も兼ねている。ただ生地が薄いので、囚人達のボディーラインを克明に描き出すことになってしまっている。
 倒錯的な服を着た囚人達は、机に向かって必死に手を動かしていた。
「んもぅ、分かってるから、そう急かさないで」
 長い金髪に青い瞳、囚人服が張り裂けそうなほど大きい胸。皇帝の友人であり、国防軍の英雄でもあるユリシア・ファランドールだ。
「それにしても、こんな破廉恥なもの……本当に国民の皆さんが欲しがっているのでしょうか?」
 不満そうに言いながらも、一生懸命筆を走らせるのは黒髪の美少女。同じく皇帝の友人にして治安警察のエリート、姫川ハユルである。
 姫川は頬を微かに染め、自分自身のあられもない写真に目を落とす。それは姫川にとってはこの上ない恥辱であり、罰としてはふさわしいのかも知れない。姫川はなるべく意識しないように、目をつぶる気持ちで己の名前を書き込んだ。
「お前達は分からんでもないが……この私のポートレートとサインなど、欲しがる奴がいるとは思えん」
 一番大人びた、黒髪の女性が苦々しくつぶやいた。囚人服から透けて見えるその体は、男ならば欲情せずにはいられないほど煽情的だ。
「いや、なかなかの人気だぞ怜悧。お前の正体を隠したシークレットバージョンと合わせると、ユリシアを抜くほどだ」
 ユリシアが眉を寄せて、がばっと顔を起こす。
「ちょっと! それって本当!?」
「事実だ」
 冷静に答える傷無に、ユリシアは額に手を当てて、がくりとうなだれた。
「あーもぅ、ショック……国防閣僚会議長の怜悧に負けるだなんて……」
「ユリシアさん! そんなところで張り合わないで下さい!」
 傷無は怜悧に、にやりと笑いかける。
「それだけお前らを楽しみにしている者も多いということだ。良かったな、怜悧?」
 侮蔑するような傷無の言葉に、怜悧は頬を微かに染めて、目を泳がせた。
「う……うむ……なかなか、名前で呼ばれるのも……悪くないな」
 どことなく嬉しそうだった。
 この刑務所では囚人に対して労働が課せられる。現在この囚人達が行っているのは、署内のスタジオで撮影された生写真に、彼女たち自身の手書きサインを入れるという作業だ。いわゆるお手軽なキャラクターグッズである。と言っても、あくまで無償で配布される、現政権のプロパガンダに利用される頒布品であり、商売ではない。
 無料ということと、かつての支配者が囚人となった姿が溜飲を下げるのか、お手軽な割りに、これがなかなかの人気だ。若い世代には、むしろダークヒロイン的な人気があるらしく、新しいグッズを出すと、予約で品切れというケースも珍しくない。
 民衆の要望に応え、傷無は次々と新商品を生み出していった。ポスターにクリアファイル、バッチや各種ステーショナリー。Tシャツなどのアパレルグッズなども人気だ。他にも彼女たちのイメージビデオ、写真集、フィギュアなども計画されている。第一弾として、姫川のネコミミ&尻尾スタイルのフィギュアが製作される予定だ。無論、キャストオフも可能。
 有能な企画者──もとい看守として傷無も今や時の人だ。そのグッズの傾向からミスターエロス、またその優れた審美眼から傷無プロとも呼ばれている。
「──ちょっと。どうでもいいけれど、一番人気はあたしなんでしょうね?」
 銀髪に赤い瞳の少女が、不機嫌そうに訊いた。
「ああ。お前が一位だったよ」
「そうでしょう! 当然よね、なにせあたしが皇帝なんだし」
 そう言って、『元』皇帝アイネス・シンクラヴィア、『現』千鳥ヶ淵愛音は胸を張った
「政治のシステムは変わったけど、国民のあたしへの崇拝は変わっていないということね。得票数も、きっとあたしが断トツでトップだったに違いないわ」
 鼻息の荒い愛音だが、実際はかなりハユルに追い上げられて10%ほどの得票差で逃げ切った、というのが実情だ。
「作業終了まで残り三十分! 十秒で一枚サインをしていけば終わる計算だぞ」
 傷無の指示に、四人は再び急いで手を動かし始める。最初は時間がかかったが、さすがに何千枚とこなしてゆくと慣れてくる。今では一枚十秒もあるなら余裕だった。とはいえ、三十分連続では疲れるし、腕も痛くなる。
 そして全て書き終えたときには、四人とも疲労困憊して机にもたれかかっていた。
「よし! 作業完了。お前達は国民の役に立てたのだ。感謝するがいい」
 ユリシアは手を組んで、思いっきり伸びをする。
「んん~っ! ファンサービスとはいえ、ちょっとハードよね……」
「はぁ……国民のためとはいえ、さすがに疲れました」
 応えるように姫川もつぶやいた。
「独房へ戻って休め。一時間の休憩後、次の作業に入る」
 まだ働かせるの? と文句を言う四人に、傷無は黙って手錠をはめた。そして四人を引き連れ、それぞれの独房へと向かう。
 独房は特殊房Xと呼ばれる特別製だ。しかし壁や扉の強度、脱獄に対する防衛策などは特別なものではない。収監されている囚人からは、全てハート・ハイブリッド・ギアのコアは摘出済みであるため、力尽くでの脱獄は不可能だと思われるからだ。
(ちなみにコアの摘出手術は天才外科医のスーパードクターNが行った。どんな魔術を使ったのか分からないが、不可能なはずのコア摘出をいとも簡単にやってのけた天才である)
 この特殊房Xの特徴は強度ではなく、その設備にある。ほかの独房と違い、快適性は抜群だ。冷暖房完備。中のインテリアもそれぞれの好みに合わせたものになっている。愛音はゴシック風な豪華な部屋。姫川は和室。ユリシアはお洒落でモダンなインテリア、といった具合である。
 そしてその中でくつろぐ姿は、定点カメラによって二十四時間配信されている。着替えなどの場合は、アタラクシア刑務所の技術主任である識名京が開発したセーフティ・エフェクトが自動で画面に現れて大事な部分を隠すことになっている。
 それでも大人気なこの企画。
 飛弾傷無、やり手であった。

   ◇ ◇ ◇

「はぁああーっ! やっと今日の仕事が終わったわ!」
 ユリシアが伸びをする。
 あれから写真撮影、およびイメージビデオ撮影。キャラクター商品の宣材作成。中継で刑務所内からのTV出演などをこなした。
「本当に、毎日仕事漬けですね……」
 疲れた声でつぶやく姫川に、愛音もうんざりした顔で同意した。