[七星降霊学園のアクマ] 4巻発売記念スペシャルストーリー! デンジャー・クローズACT2 田口仙年堂 イラスト/夕仁

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 その日、僕が帰宅すると珍妙な格好の二人が出迎えてくれた。
「おかえりなさい、月斗ちゃん!」
「おかえり月斗! さあ靴を脱げ!」
 雅とカグラなのは理解できたけど、その格好は理解できない。
 まず雅の格好は普段着ない黒を基調としたドレス。チェック柄の珍しいドレスだけど、どこかで見た事があるような――
「ってお姉ちゃん、それカグラのドレスじゃないか!」
「うふふー、演劇部の友達に衣装がないか訊かれちゃって、それでカグラちゃんを思い出したの」
「吾輩にかかれば、この程度の縫い物など朝飯前よ!」
 腕を組んでそう答えるカグラは、七星降霊学園の制服とコートを羽織っている。これは雅の制服だろう。七星降霊学園の制服はカグラには大きいようだが、マントのようにたなびくコートは偉そうな態度にピッタリ合う。
「どうかしら月斗ちゃん、似合う?」
「え、ええと、その――」
 正直、雅にゴスロリは似合わないと思う。普段の凛々しい姿が焼き付いているからだろうけど、正直に言っていいものか。
「どうしたの? 何かおかしいかしら?」
「に、似合うよ! 似合うからケータイを取り出すのはやめて! 今、剣を召喚しようとしてたよね!?」
「あら、ありがと。でも実際に着るのは友達なのよねー」
 苦笑して肩をすくめる雅。
 だけど雅もカグラも、服装が入れ替わっただけでまるで別人だ。思っている以上に、服装ってその人を表す重要な記号なんだな。
「ただいまー! って、どうしたの二人とも!?」
 マンションの管理人さんと話していたせいで、わずかに遅れて帰ってきた雪伽。彼女も入れ替わった雅とカグラを見て驚いている。
「なるほど、入れ替わるというのも楽しいものだな!」
「え?」
「貴様らも味わってみるといい!」
 カグラが指を鳴らすと、僕の身体から煙が出た。いや、僕だけじゃない。雪伽の身体からも煙が出ている。
 一瞬の後、僕の服が変わっていた。
 七星降霊学園の制服なんだけど、なんだか足がスースーするような――
「って、これ雪伽の制服じゃないか!」
「わぁっ! 私もにぃちゃんの制服着てる!」
 なんでスカート履かなくちゃいけないんだよ!
「戻してカグラ! 早く!」
「いや、これはこれでなかなか――」
「そうね……足の毛も薄いし、ちゃんとすれば化けるわよ」
「お姉ちゃんまで一緒になって見ないでよ! 雪伽も嫌がってるじゃないか!」
 と横にいる雪伽を見るのだが、
「わー、にぃちゃんの匂いがする……」
 だめだ、雪伽も話を聞いていない! 僕の制服の袖に顔を埋めて別の世界へ旅立ってしまっている!
「やめてってばカグラ!」
「フハハハハハ! 服を入れ替えるのは面白いな!」
 カグラが指を鳴らすと、また僕の服から煙が出た。元に戻してくれるのかと思ったが、違う。また僕はスカートを履いているではないか。しかもその上にコートを羽織っている。
「これお姉ちゃんの制服じゃないか!」
 てことは、今は雅が僕の制服を着ているのか。
 そう思って彼女を見ると――
「あら、ちょっと小さいのね」
 ズボンの裾も上がっているし、肩口や胸元もきついようだ。雅は身長が高いからモデルのような体型だって言われてるんだよね。
「ふむ、ならばこの制服ならどうだ?」
 カグラが指を鳴らすと、煙とともに僕の制服が戻ってきた。やっぱりこの制服が一番落ち着く。
 一方、雅は別の制服を着ていた。やっぱり男物だ。
 大きく開いた上着からは、緑色のシャツが見える。そして首からは数珠のようなネックレスが下がっていた。雅よりも大きな人間が着ていたようで、背の高い雅でもダブダブになっている。
「あら、この制服なら着られるわ。大きくてたくましい人が着てるのかしら?」
 ん? そういえばあの数珠って、どこかで見たような。
 それにこれだけ大きな制服を着た生徒なんて、七星降霊学園でもそう多くない。
「にぃちゃん、あの制服ってボブのじゃない……?」
「……うん」
 彼は今、何をしているのだろう。
 様々な想像が頭をよぎる。
 雅がこの制服を着ているって事は、今ボブが着ているのは――
「にぃちゃん、ケータイ鳴ってるよ」
「……ボブからだ。しかもテレビ電話だ」
 どうしよう。出るべきなんだろうけど、すごく出たくない。
「フハハハハハハハハハ! 衣食住の衣を制覇する日も近いぞ!」
 鳴り響く着信メロディとカグラの高笑いに、僕は頭を抱えるしかなかった。

おわり

挿絵

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