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スニーカー大賞

スニーカー大賞 秋の選考 最終選考結果発表

優秀賞 まるで人だな、ルーシー 零真似/特別賞 SADSガ好ムハ籠リ猫 あまさきみりと/特別賞 悪魔調教師・瑠璃崎蒼音 霜月セイ

総評

 最終選考に残った作品は、いずれもコンセプトやエンターテインメントとしての売りが明確で、且つ個性やオリジナリティもきちんとある作品ばかりで、どれも読み応えがありました。
その中で、読む人を強く惹きつけるような一際個性的な内容が話題となった「まるで人だな、ルーシー」が優秀賞を受賞しました。続いて、ドS主人公とヒキコモリ系ヒロインというユニークなキャラクターたちによる、ちょっとHな青春模様が魅力の「SADSガ好ムハ籠リ猫」が特別賞。同じくドSなヒロインと保護者的な立ち位置の主人公による掛け合いの面白さと、王道なバトルアクション展開を確かな筆致で描き切った「悪魔調教師・瑠璃崎蒼音」が特別賞を受賞することになりました。

まるで人だな、ルーシー 零真似

御剣乃音は十二歳でエキセントリックボックスと出会い、人身御供に選ばれた。自分を構成する要素をエキセントリックボックスに差し出す代わりに、人身御供はどんな願いも叶える力を得る。そうしてエキセントリックボックスはだんだん人間らしくなっていき、御剣は大切な何かを失っていく。それから三年、御剣は損得を度外視して人助けをする人間になっていた。ある日、御剣は自分と同じ人身御供の氷室と出会う。しかし氷室は、自分と正反対の人間――人を苦しめるために生きる人身御供で!?

受賞者コメント
 いつかは塞がってしまう傷をだれかにつけてみたくて、物語を書きはじめました。たしか六年くらい前のことだったと思います。今でもまったく同じ気持ちだろうかと自問してみたところ、答えははぐらかしておく方向となりました。
 でもまあ、とりあえず。今日に至っても、雨が降るとわざと濡れようとしたり意味もなく空に手を伸ばしたりしてしまうので、大事な部分はたぶんそんなに変わってはいないのでしょう。
 そう思うとなんだか少しうれしくなった零真似(ゼロマニ)です。発音としては「アボカド」が近そうです。
 純然たる一次創作などないのでは? と言われているこのN次創作の時代にずいぶん不遜なペンネームだと自分でも後々額を手で覆ってしまいましたが、じつはネットで使っていた名前に適当な漢字を宛がっただけで特に意味はなかったりします。
 とはいえ、せっかくこの名前で〈優秀賞〉というイケメンなものをいただけたので、これからはそういう葛藤も楽しんでいきたいと考えています。
 二次選考を通ったあたりから毎晩のように悪夢にうなされてよく眠れなかったので、まずはメンタルの強化からですね。えいえいおー!

 作家になるのが、僕にとってとりあえずの叶えるべき夢でした。そのために恥や世間体には全力でしらんぷりを決め込んでここまでやってきました。
 それはもう、舞台人を育てる大学の授業でみんなが役者やダンサーを志望する中、ひとり「僕は小説家になります!」とか言っちゃって先生を困らせてしまうくらいに。
 そんな僕が「受賞者コメント」としてみなさんに送れるのは、やはり少々独りよがりにも思えるエールになってしまいます。それでも、これを読んだだれかに少しでもやる気みたいなものが湧いてくれれば幸いです。

 ——根拠や理由に情熱が勝るうちは、ぜひとも夢を追い続けてください。自分の気持ちにフタをするのは中身が空っぽになってからで十分です。

 それでは。これから作品刊行に向けて鋭意邁進していきます。
 みなさんの心に少しでも留め置かれるようなものを作り上げていきますので、どうぞよろしくお願いいたしマスマティシャン!
SADSガ好ムハ籠リ猫 あまさきみりと

クラスメイトに陰で紳士andサディスト、略してSADSと呼ばれていた東雲甲は、イケメン+紳士的なのに、いざ女の子と付き合うと三種の妙技を持つエッチなサディストに変身してしまうという二面性を持っていた。友人の森野から「自分の妹と一緒に暮らしてほしい」と頼まれた甲は、エロゲー好きのヒキコモリ少女のレナトと同棲することに。決して素顔を見せたがらない位に恥ずかしがり屋なレナトに、甲はエッチなSADSトレーニングを強制して!?

受賞者コメント
こんにちは、あまさきみりとです。
私が創作活動を始めたのは、おそらく友人Yのせいだと思います。Yとは保育園からの同級生で、中学ではバンドを組んでいました。
Yはバンド練習に寝坊しながらも悪びれる様子はなく「時間に縛られているお前らが可哀そうだ」と、食パンを食べながら言い放ったのです。虎刈りというヘアースタイルで。
「普通」や「安定」といった言葉を嫌っていたYのクレイジーな生き様に刺激を受けた私は、得意だった創作の分野でプロになることを誓い、向こうは音楽の分野でプロになることを約束しました。

そして、新人賞へ投稿を始めること約二年――ご縁がありまして、スニーカー文庫様より受賞のご連絡をいただくことができました。
これも選考に携わってくれたスニーカー文庫編集部様や、関係者様各位のおかげです。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げると共に、未熟な私と末永くお付き合いしていただけると幸いです。
趣味だったものが仕事へと変化するのは、多大な責任も背負うということです。もう自分だけの世界じゃないという覚悟を以て、日々精進していきます。

特別賞をいただいた『SADSガ好ムハ籠リ猫』は、ヒロインを可愛く描こうと全力を注いだ作品で、とにかく仕草や言動に拘りました。あざとい、と思われるくらいに。
選考員を萌えさせたら勝ち、萌えさせられなければ負け。ラブコメ(稀にエロ)というシンプルな内容だからこそ読ませるための武器は明確で、それが受賞へと繋がったのではないかと自己分析しています。
あとは私の生き写しのようなV系ロリがいたり、主人公はHENTAIな妙技使いだったりと、やりたい放題させてもらった開き直りが功を奏したのかもしれません。
受け身な草食系主人公では物足りないと考えて、積極的な肉食系にしてみたのですが、今考えるとライトノベルではあまりいないタイプでしたね。
ちなみに、スニーカー文庫様はエロに寛容(?)なので、やりすぎかな~くらいの描写ながらも「限界まで行こうぜ」なノリで投稿しました。レーベル分析はホント大切。

最近は『異世界』という単語を目にする機会が多くなりましたが、学園ものやラブコメだって負けてはいられません。ライトノベルといえばラブコメ、と考える読者もまだまだ多いはず。
ということで、担当さんと二人三脚で今後の改稿に力を注ぎ、早く皆様の手元へお届けできように頑張っていきたいと思います。
面白さを追求していきながら、あまさきみりと独自の色を感じられる作品を目指し、作家としての人生を歩んでいけたら、と。

あらためまして、スニーカー文庫編集部様とその関係者の皆様。今回は受賞という栄誉を与えていただき、本当にありがとうございました。
今後、刊行するかもしれない自著を手に取っていただける読者の皆様。その期待に応えられるよう精一杯書いていきます。
あまさきみりとという作家見習いを、今後ともよろしくお願いいたします。
悪魔調教師・瑠璃崎蒼音 霜月セイ

10年前の事件で、生き延びるために哀しみの感情と引き換えに力を手にした瑠璃崎蒼音は、ゆえに人の痛みがわからない。性格がひん曲がって成長した蒼音は、悪魔を脅して強制的に除去するという暴力的手段で有名な鬼畜祓魔師になっていた。保護者でありサポート役の一色弘青を振り回す日々を送る蒼音のもとに、かつてのクラスメイトが謎の襲撃にあっているとの相談がもちかけられ!?

受賞者コメント
 はじめまして、霜月セイと申します。
 此度は、第21回スニーカー大賞(秋)の選考につきまして、特別賞という大変有難い賞を頂き、誠にありがとうございます。

 「悪魔調教師・瑠璃崎蒼音」。
タイトルからして嫌な予感しかしませんが、その予感は的中しています。
 オカルト騒動を本作のヒロイン様がドメスティックに、かつサドスティックに解決(?)していくというものです。
 しかし、よくある幽霊の未練を晴らして成仏させる、といったハートフルなお話とは異なり、「未練を残してこその人生」をテーマにしております。「未練」はその人が生きた証であり、こいつを残して死ねるかという想いは決して悪い事ではない、むしろ誇れよ未練を! といった具合に未練を残す事を目的としています。幽霊絶賛量産です。
「未練」がその人が生きた証なら、一生懸命生き抜いた人の軌跡を否定することは誰にも出来ない、だから「未練」を残しても良いじゃないか、そんなに大切なものを残せるくらいの人生なんて最高じゃないか、未練がなんぼのもんじゃい! というやや斜め上な信条を晒した結果生まれた作品です。

中学生の時から小説家になりたくて切磋琢磨してきて、雨の日も風の日もテスト期間中もいそいそと執筆し、ようやく野望を果たす事が出来ました。
こんなエロ同人みたいなタイトルな作品に、このような素敵な賞を頂き、本当に感謝してもしきれません。

 ヒロインの蒼音様は書いている本人でも「あ、やりすぎた」と思う程人としてかなーり酷いです。悪をもって悪を制す、という限界を超えた酷さです。ヤンデレ、ドS通り越して鬼畜ヒロインです。何でも許せる人向けです。先に謝っておきます。本当にすみませんでした。
 また蒼音様の元ネタは、ガチなオカルト事件に遭遇した際に怒鳴ったらどうにかなった事があったので、「そうか、怒鳴り散らせばどうにかなるのか」という謎の教訓からきておりますが、良い子は絶対に真似をしないように、悪い子も決して真似をしないように。

 ご担当者様や編集の皆々様、そして今後お世話になります多くの方々。
 近い将来、この作品を手に取って下さる無限に広がる宇宙の如き広い心をお持ちの皆様。
 この作品を通じて誰かにとっての「未練」を作れるように励ませて頂きますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。