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スニーカー大賞

スニーカー大賞 春の選考 最終選考結果発表!

特別賞 あれは超高率のモチャ子だよ 丹羽春信

特別賞 Shall we ダンス部? 三萩せんや

総評&あらすじ

最終選考に残った作品のジャンルは、バトル、コメディ、青春……と多岐にわたりました。いずれも魅力的な作品でしたが、最終的に、オリジナリティの高さに注目が集まった2作品が《特別賞》を受賞する結果となりました。

あれは超高率のモチャ子だよ 丹羽春信

学園限定の貨幣ペチャ子が流通する照柿学園。そこに通う高校生・桜几アキラは、ある日、友人の手島ユイとともに保安部に呼ばれる。そこで、貨幣ペチャ子が別の貨幣モチャ子に交換されることを知らされ、おまけに謎の襲撃事件の調査をすることになり!?

容赦無い会話と展開の妙が魅力の、ナンセンス学園コメディ。主人公とヒロインを中心とするノリ/ツッコミの掛け合いが面白く、ストーリーのテンポよく展開され、高い完成度を感じました。一方、貨幣ペチャ子、モチャ子の扱いについては、やや飛ばし過ぎでは? という意見もありました。

Shall we ダンス部? 三萩せんや

星辰高校に入学した雪也は、食べ物に釣られ「社交ダンス部」に入部してしまう。個性的なメンバーが活動するゆるーい部活だったが、雪也はだんだんと社交ダンスの楽しさにのめり込んでいく。そんな矢先、部活の統廃合を賭け、競技ダンス部と対決することになり!?

社交ダンスというライトノベルでは珍しい題材を選んだことに注目が集まりました。また、どのキャラクターも魅力的であり、細部までダンスという題材を活かしたシーン構成も見事でした。ただし、ダンスという「動き」を文章で表現するにあたって、いくらかの物足りなさも指摘されました。

デバイス ~我が儘で可愛い高スペックの魔導書に恋したおれはどうかしている~ 星井混八

魔力と魔導書がなければ生きていけない世界で、そのどちらも持ち合わせていないダン・レヴィ。しかし、謎の襲撃者に襲われたダンは、可愛らしい少女の姿をした魔導書・テレサと運命的な出会いを果たし――。

魔力の弱さに悩む主人公、電子魔導書のヒロインなど、各キャラクターに作品世界に適した設定がつけられており、面白く読める作品でした。見せ場を分散しないように描くことができれば、更に良かったと思います。

俺の人生=ハードモード 瀬戸 巡

悪魔に襲われたところを天使ミコピョンによって救われた工藤竜馬。ミコピョンを天界へ帰すためミコピョンに協力することになった竜馬は、指令ノートのミッションをこなしていく。でも別の天使フレイヤが妨害してきて――。

天使ミコピョンと主人公・竜馬を中心に、コミカルな能力バトル物としてキャラクター、ストーリーともによく書けていた作品です。一方、サブキャラクターの扱い方など、細部への配慮をもう少し持った方が、より完成度も高くなったでしょう。

星屑はくずかごへ 八白

彗星が地球に接近したことで、一部の人間には不思議な能力が目覚めていた。女子高生・唐草あひるもその一人で、能力は「他人に知覚されなくなること」。でもその発動にはある条件があり!?

学園能力ものですが、キャラクター、ストーリー、能力のバランスなど、全体的な完成度がとても高い作品です。あとは、さらに明確な【新しさ】が見える作品になっていると、受賞も見えたと思います。

閻魔太郎は地獄の審判者(予定) 雪芝 哲

閻魔太郎は父親である閻魔大王にエロゲーが見つかり、パソコンを破壊される。そのことに怒った太郎は、ケルベロスとともに人間界に家出し、旭山氷華という女の子と出会う。氷華の家に居候することになる太郎だったが、氷華の父親はヤクザの組長で!?

前半はスケベでおバカな主人公・太郎のキャラクターの良さで読ませ、後半のバトル展開ではそのギャップが良い感じに効いてくる構成が見事でした。ただし、後半のバトルには、あまり「閻魔大王の息子」であるという設定の必要性が見られず、その点が残念でした。

英雄になれない僕だから 吾妻 巧

五月十日の朝、不思議な夢から目を覚ました神船紡。その夢は、クラスメイトの有栖川鎮が紡に興味を持っているという内容の夢だった。その日、夢の内容と同じに、鎮から屋上へと呼び出された紡は、鎮にナイフで刺し殺されてしまう。しかし、次の瞬間、紡は再び五月十日の朝に目を覚まし――!?

日常が徐々に崩れていく感覚が上手く描かれており、読んでいて惹き込まれる内容でした。ですが、中盤あたりから徐々にストーリーのテンポが悪くなり、同じような展開が続くように感じられた点がマイナスだった点が残念でした。

死神の瞳 綾瀬 龍

「ぼく」の目の前に現れた不思議な女の子「ユーリ」。彼女は「死神」を名乗ると、「ぼく」のわずかな余命を宣告し、傍に居させて欲しいと嘆願してきた。人生にさしたる意味を見いだせないでいた「ぼく」は、自分を騙しながら「やり残したくないこと」を日々消化していく。しかし、「ぼく」は徐々に「ユーリ」に惹かれていき――。

余命を告げられた主人公の行動の変化というテーマがしっかりと描かれており、きちんと感情移入しながら読める作品でした。しかし、読む人の意表をつくような意外性のある展開などが見られず、もっと読者をひきつける面白さがあると尚良かったと思います。

次回は受賞者の言葉をお届けします!