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スニーカー大賞

第19回スニーカー大賞 春の選考  受賞者の言葉

優秀賞 大魔王ジャマ子さんと全人類総勇者 岬かつみ みさき かつみ

 ザ・スニーカーWEBをご覧の皆様、初めまして。
 念願の受賞が叶ったというのに、未だに無意識のうちに各レーベルの新人賞チェックをしてしまう岬かつみです。この度は光栄にも〈優秀賞〉という名誉ある賞を頂くことが出来、当人もいたく喜んでおります。
 三十路間際、迫る瀬戸際、後退する生え際、等々、際どい問題に頭を悩ませつつも今まで新人賞に投稿し続けてきました。今回、最終選考作に選ばれて編集部の方からお電話を頂いた際には、「えっ? えっ?」という困惑と「ついに来たか!」というワクワクが同時に押し寄せてきました。
 もっとも、電話の直後には頭を抱えることになりましたが。質問をいくつかお受けしたのですが、そこでの受け答えが……。

『最近はどんな小説を読まれましたか?』
「そうですね、ライトノベルではありませんがシャーロック・ホームズを少々」
『ライトノベルではどうですか?』
「……えーと」
『……それではアニメは見られますか?』
「はい。しかし、最近の一押しはアニメではありませんが獣電戦隊キョウリュウジャーですね。素晴らしい作品です。傑作ですよ!」
『……』
「……」

 みたいな。舞い上がったあまり、面接だと間違いなく落とされるような応答をしてしまいました。
 あ、こいつ残念な子だな……と自分でも思い返してしまう日々が受賞までの間、ひたすら続きましたね。それだけに受賞の連絡を頂いた際には、前日までの苦悩の表情が嘘のように晴れ晴れとしたものになりました。
 しかし、後日そのときのお相手が編集長であったと知り、今また頭を抱えております。このコメントを読んでくださっている方の中から次の受賞者が誕生することも充分あり得るでしょうし、皆様ぜひとも電話を取るときには臨戦態勢を心がけてください。

 何はともあれ、初めて小説を書き始めていた頃の十年前の自分に「お前、デビューするかもよ」と若干ぼかして教えてあげたい気分です。
 そして、今の自分にとっての大きな支えとなってくれている家族や友人たちに、この場をお借りして感謝の言葉を述べさせていただきます。本当にありがとう。
 また、これからお世話になる編集部の方々や、読者の皆々様。どうぞ今後とも岬かつみをよろしくお願い致します。
 スニーカー文庫は今年で二十五周年。さらに五年後の三十周年の折には、気の利いたコメントを寄せられる一人前の作家になっていたいものです。

特別賞 君とリンゴの木の下で 渡邉雅之 わたなべ まさゆき

 『俺の人生でいったい何が起きている!?』
 最終選考に残った電話を初めて受けた時の気持ちはそれでした。
 勿論膨大な歓喜の感情もある筈なのに緊張が先行して完全にテンパっていました。
 なので申し訳ありません編集長、あの時会話した内容をほぼ覚えていません。
 それから約一ヶ月間、人生おいてこれほど胃が痛くなった事はありませんでした。
 高校受験や国家試験の結果待ちでも何も感じなかったのに……。おかしいな……自分はもっとポジティブな人間だと思っていたのにな……どうやら自分は思っていたよりも小心者のようでした。
 パソコンでアップされる当日、俺は家の中を飼い犬よりも挙動不審にウロウロ歩き回って落ち着きがありませんでした。そしてアップされる午後二時、万感の思いでパソコンを立ち上げた俺は驚愕しました。
 『ネットのアップは夕方以降になります』
 「…………………」今時ガラケーを貫いている『屋外でのネット環境を持たない』俺はその日は夕方から夜勤でした。俺は胃痛を抱えながら車へと乗り込みました……。
 なので編集長! 夜勤が始まる前に電話連絡をありがとうございました! あのままでは本当に業務に集中出来なかった事でしょう。
 ……礼の方向が間違っている事は分かるのですが……。
 ただ不思議なのは受賞後からも胃がモヤモヤしているのは何ででしょう? もしかしてこれは今後も続いて行く症状なのでしょうか? それとも自分の小物ぶりのせいなのでしょうか?
 最後に私のつたない文章と物語に〈特別賞〉を頂け、本当にありがとうございます。前述の通り小物な私ではございますがこれからご指導ご鞭撻頂ければ幸いと思っております。

特別賞 星降る夜は社畜を殴れ 高橋祐一 たかはし ゆういち

 初めまして。この度、スニーカー大賞〈特別賞〉を頂いた高橋祐一と申します。スニーカー文庫の黎明期からの読者なので、感慨もひとしおです!
 夢をかなえるために必要な要素は、才能が33%、努力が33%、運が33%、そしてあきらめの悪さが1%、というのが僕の持論です。
 最初の99%はさておき、残りの1%のところで何とかふんばって食らいつくことができたかな、と思います。「正直、ラノベ作家としてデビューするには年齢的にそろそろタイムリミットかな」「いつまで夢見てんだよ俺」とか弱気になったりもしましたが、僕はしつこさには定評があるのです。みんなもあきらめるなよ!

 さて、受賞作は、日本社会にはびこる悪徳ブラック企業、そしてそれに巣くう『社畜』たちに戦いを挑む若者たちの物語です。作者はスタイリッシュアクション小説のつもりですが、そう言うとだいたい「ウソつけ!」と言われるのが残念です。一見、年齢層が高めの、社会人の読者をターゲットにしていると思われるかもしれません
 が、むしろこれから自分の歩むべき道を定める若い読者の皆さんに読んでいただきたいですね。おちゃらけた小説に見えて実はこれからの生きづらい時代を生きるためのノウハウが満載なのです(これはホントですよ!)。
 ジャンル的にはかなり異色の作品ですが、これからも「そんなとこ開拓するのはオマエだけだ!」と突っ込まれそうな、ニッチなフロンティアの開拓者であり続けたいと思っています。もちろんプロとして生き残るためには、きちんと読者を「入植」「定住」させなければいけないわけですが……「我こそは人柱にならん!」「地雷踏みなら俺に任せろ!」という奇特な皆様には、ぜひぜひ応援よろしくお願いします。過労死しない程度に頑張ります。